あえてマイナー用語を使用した 平成24年度行政書士試験問1 あえてマイナー用語を使用した 平成24年度行政書士試験問1

あえてマイナー用語を使用した 平成24年度行政書士試験問1



 現在連載中 【やる夫による行政書士試験テキスト・問題集レビュー

 2013年8月24日追加「行政書士基礎テキスト 法令編(2013年度版)



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前回の記事を書く上で、平成24年度の行政書士試験の問題を見てみましたが、最初の1問目が、色々な意味で行政書士試験問題らしいなと思いました。とはいえ、問われている問題自体は、前回の記事でも書いたとおり、判例の法源性や解釈といった大学の法学で学ぶ領域ではあると思います。じゃあ、どういったところに行政書士試験問題らしさを感じたかといいますと、それは受験生をあえて惑わすような選択肢が1つ混ざっているところと、あえてマイナー用語を使用しているところです。


平成24年度の行政書士試験の1問目は次のような内容です。





「判例」に関する次の記述のうち、明らかに誤っているものはどれか。

1.判例は、一般的見解によれば、英米法系の国では後の事件に対して法的な拘束力を有する法源とされてきたが、大陸法系の国では法源とはされてこなかった。
2.英米法系の国では、判決のうち、結論を導く上で必要な部分を「主文(レイシオ・デシデンダイ)」、他の部分を「判決理由」と呼び、後者には判例法としての拘束力を認めない。
3.判例という語は、広義では過去の裁判例を広く指す意味でも用いられ、この意味での判例に含まれる一般的説示が時として後の判決や立法に大きな影響を与えることがある。
4.下級審が最高裁判所の判例に反する判決を下した場合、最高裁判所は申立てに対して上告審として事件を受理することができる。
5.最高裁判所が、法令の解釈適用に関して、自らの過去の判例を変更する際には、大法廷を開く必要がある。





【結論と問題のない選択肢たち】






結論から言いますと、明らかに間違っているのは2なので、正解は2を選択することです。で、引っ掛け選択肢は1ですね。まずは正しい選択肢である3から順に、選択肢の内容について簡単に説明致します。



3については、まずここでいう「一般的説示」が「傍論」(判決理由とは関係のない部分)を指していると考える必要があります。「一般的説示」というあえてわかりづらい用語を使ってきているところに、行政書士試験問題イズムみたいなものを感じます。が、こういったあえてマイナーな方の言葉を使うというのは、行政書士試験的には軽いジャブみたいなものです。
あとはこの選択肢が正しいかどうかですが、実際に朝日訴訟事件の最高裁判決において、「尚、念のために・・・」として憲法25条の解釈について触れた「傍論」が、その後の裁判で引用されたりしており、他にも「傍論」が引用されている裁判はあります。したがって、この3については、一般的説示(傍論)が時として後の判決や立法に大きな影響を与えることがあるということで正しい記述です。



4は、民事訴訟法318条1項の内容ですね。民事訴訟法318条1項において、「最高裁判所は、原判決に最高裁判所の判例と相反する判断がある事件~中略~について、申立てにより、決定で、上告審として事件を受理することができる」とあります。尚、この条文のなかの「原判決」とは、最高裁判所より下の裁判機関、いわゆる「下級審による判決」を意味しております。条文をそのまんま選択肢に記述した内容ですので、これは正しい記述です。


5は、裁判所法10条3号の内容ですね。この条文において、「憲法その他の法令の解釈適用について、意見が前に最高裁判所のした裁判に反するとき」は、大法廷で裁判を行う必要があると定められております。最近ですと、非嫡出子の相続格差をめぐる、いわゆる婚外子問題についての裁判が、大法廷で開かれるということが決まり「これまでの判例を変更するのではないか」と注目をされたりしました。このように、最高裁判所が判例を変更する場合は、大法廷で裁判を行わなければならないので、大法廷で裁判を行う=判例を変更する可能性があるということを意味します。







【問題の選択肢たち】





さて、問題の選択肢ですが、選択肢1から順に説明しましょう。
1は、判例に法源性があるかどうかということが、一般的見解ではこれまでどう考えられてきたかということを問うています。この一般的見解とは、法学用語でいうところの「通説」ですね。判例の法源性って、これまでの通説では、確かに日本を含む大陸法系の国では認められてこなかったと考えられております。しかし、現在では、裁判実務を考慮すると大陸法系の国でも判例に法源性はあると考えるのがむしろ一般的な考えになってきております。なので、この選択肢1の「一般的見解」という記述を「従来の通説」と読み替えられることができるかどうかがポイントだと考えます。


したがって、現在の一般的見解と捉えてこの問題を解こうとすると、上記のように、現在は大陸法系の国でも判例の法源性が認められていると考えられているということから、この選択肢を間違った記述と判断してしまうおそれがあります。引っ掛け要素は高いですが、この選択肢はなんだかんだで正しい記述となります。


そして2が明らかに間違った記述ということで、これを選択することが正解となります。ちなみに、2のどこが間違っているかというと、「レイシオ・デシデンダイ」は「判決理由」のことを指しておりますので、これを「主文」としているところ、そして他の部分を「判決理由」としているところが間違っておりますね。ちなみに、他の部分とは、「傍論」になります。選択肢3であえて「一般的説示」というわかりづらい記述をしたのは、この「傍論」という言葉を使いたくなかったからではないかと考えられます(傍論という言葉を思い出せば、選択肢2が明らかに間違っているということにつながりやすい)。こういった用語の使い方になんとなくその出題者の意図が見えてくるので面白いです。まあ、受験生からみれば実際の試験本番ではそこまで考えていられないですけどね。



ということで長々と解説をしましたが、選択肢の背景まで含めて色々と考えてみるのは意外と面白かったので、またこういうのを他の問題でもやってみたいなと思いますね。





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行政書士試験に出そうな判例


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Author:梅安
性別:男性
生年月日:1980年8月19日

千葉県行政書士会所属の行政書士です。

私自身が独学で行政書士試験に合格した経験に基づき、やる夫というキャラクター等を使って行政書士試験対策等をこのブログでは書いております。

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